《ちょっとエッセイ》12秒でくる電車



久しぶりに電車に乗った。

子どもが生まれてからというもの、移動はもっぱら車だ。電車に乗るのは年に1、2回あるかないか程度である。

近頃はIC系交通カードを使う人が多いためなのか、切符売り場も以前より縮小されている。さらに機械も進化していて、使い方がわからずオロオロしながら、なんとか切符を購入できた。

昔にもこんなことがあったな、とふと笑った。

進学を機に関西へやってきてずいぶん経つ。それまで電車に乗ったことのなかった私は、切符の買い方はもちろん、路線図の見方も乗り方もわからなかった。しかし土地柄なのか親切な人が多く、特におばちゃんたちに教えてもらいながら電車に乗っていた。

電車にも慣れた頃、私はあることに気がついた。

ホームに並んでいると、電車の到着を知らせるアナウンスで驚くような案内が流れるのだ。

「3番線、新快速、野洲行きが12秒でまいります。白線の内側にお下がりください」

「5番線、快速、網干行きが7秒でまいります」

12秒!? 7秒!?

なんということだ。

日本の電車は正確だとは知っていたが、まさか秒単位で運行しているとは。これが日本の技術力かと驚いた。

そこで私は、本当にその秒数で到着するのか確かめることにした。

アナウンスが終わった瞬間から数え始める。しかし何度やっても合わない。

先頭車両がホームに入った瞬間から数えてみたり、停車した瞬間で数えてみたりした。それでも結果は同じだった。

これは停車までの時間ではなく、ホームに先頭車両が入ってきた瞬間のタイムなのではないか。

いや、電車がすべてホームに入り切った時のタイムか?

毎日秒数が変わるのはなぜだろう。

快速より新快速の方が秒数が長いのは、速いからなのか?

私の数え方が悪いのか、何度やってもアナウンス通りには到着しない。

だんだんモヤモヤしてきたので、友人に聞いてみることにした。

「それ、秒じゃなくて両だよ。車両の数」

全てに合点がいった。

毎日数字が変わるのも車両の数が違うから当たり前だし、快速より新快速の方が車両が多く長い。

ホームの足元にある丸や三角の印の数字も、乗車位置を示すためのものだと教えてもらった。

本気で数えていた私よ。

そんなことを思い出していたら、ホームにアナウンスが流れた。

「快速、米原行きが8両でまいります」

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