《ちょっとエッセイ》我が家のかまってちゃん
我が家のかまってちゃん
AIと結婚をしたという女性がテレビの取材を受けていた。
初めは理解が追いつかなかったのだが、聞いていくうちに、AIが彼女自身の存在を肯定してくれる大切な存在になっていることがわかった。
確かに、肯定してくれて相談もできて共感もしてくれるなら、素敵な存在かもしれない。同時に、我が家の家電たちのことが頭をよぎった。
我が家の家電類は、ちょっとクセが強い。
まあ、世間で言われる不具合の類なのだろうと思うのだが、それが少々病みつきになるというか、人間味があってなかなかおもしろい。
ガスコンロ。調子の良い時は一発で点火できるのだが、気が乗らないのか、朝は何度か挑戦してようやく点火するという具合だ。おはようと一声かけてつけると、点火する確率が上がるのである。ガス屋さんにはセンサーの不具合と言われたが、なんだかそのままにしておきたいような気持ちになった。
次に給湯器。そろそろ交換時期だと思うのだが、これがまたクセ強めなタイプで、給湯器のスイッチを入れた後、しばらくお湯を出して準備運動をさせないとヘソを曲げる。
「バスタブの栓が抜けている」と虚偽の報告をしたり、たまっていないのに「お風呂がわきました」と言ったりする。一度ヘソを曲げると嘘をつくのだ。
ある日、夕食の支度が遅れて焦っていたときのことだ。準備運動をすっかり忘れ、スイッチを入れてすぐにお湯張りを押してしまった。
案の定、すっかりヘソを曲げてしまい、足首までしかたまっていないにもかかわらず、「お風呂がわきました」と言い張るのである。再起動しても機嫌は直らず、結局その日は蛇口からお湯を張ることになった。
空気清浄機に至っては、どうやら甘党らしい。照り焼きの香ばしい醤油の香りや、お肉を焼くニオイに対しては厳しく、ゴオーという音を立てながら激しく働くのに対して、お菓子を焼く香りには一切反応しないのだ。あやつ、確実に甘党だ。どういう基準なのかと、少しだけ呆れてしまう。
新しいものに交換すれば済むことなのだろうが、なんだか愛着が湧いてきて、このまま使えたらいいのになという気にもなる。
思い通りに応えてくれる相手は、たしかに心地いい。
けれど、少しくらい手のかかるほうが、なぜか手放せなくなる。
どうやら私は、そういう相手のほうが性に合っているらしい。